ISOの取り組み

 

「教育訓練プログラム開発事業」
第2回検討委員会での報告

 

2019年07月25日

株式会社ビッドシステム

代表取締役 谷 径史

●はじめの挨拶

 前回は、スケジュールの調整ができず、出席できず申し訳ありませんでした。今回、改めて、「自己紹介」の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 このたび「教育訓練プログラム開発事業」のプロジェクトに参加させていただくことになりましたが、丁度、会社として研究しようとしていたことと重なる点が多く、このプロジェクトに参加できたことをうれしく思っております。
 では簡単に当社の状況についてご説明させていただきたいと思います。

●会社紹介

 当社は、もともとは、あるソフト開発会社のひとつのプロジェクトチームであり、それが独立して生まれました。私は、そこのチームリーダーでした。
 はじめは5人で有限会社として出発しましたが、2000年2月に株式会社へ改組しました。それと時を同じくして、すなわち株式会社になるのを契機にして、ISO9001の認証を取得しました。
 当時は、ISO9001は2000年版が出されていましたが、当社では「勉強の意味」も込めて、94年版で取得しました。その後、2000年版、2008年版、2015年版と順次対応し、現在に至っています。
 本社の所在地は群馬県伊勢崎市で、10名ほどの社員とともに、小さいながらも自前の建屋をもち、業務を営んでおります。

●会社の特長

 小さい会社には小さい会社なりの良い点があります。その一つは小回りが利くということではないかと思います。小さい会社ということは、運営にかかる諸経費が少ないので、ある程度の冒険をすることができます。
 また、ISO9001の経験も重ねてきましたので、基本的なQMSについての理解もある程度持ち合わせていると思います。
 今回の「教育訓練プログラム開発事業」のプロジェクトに参加させていただくにおいて、このメリットを生かしたいと考えております。
 当社では、これまで、漠然としたテーマでのプロジェクトにかかわった経験があります。どうしてもシステム開発というと、多くの場合、漠然としたイメージから、だんだん具体化していくことが多いので、こうした経験もまた、生かしていきたいと思います。
 当社では、とくに専門性の高い分野があるわけではないので、今回のプロジェクトでは、その点、諸先生方にたくさん学ばせていただきながら取り込んでいきたいと思います。
 これが、今回のプロジェクトにおける当社の立ち位置ではないかと考えています。

●当社のもう一つの特長

 当社は、パソコンソフトの分野の会社ですが、設立当初(実際にはそれ以前)から、制御系メーカー様とのお付き合いがありました。制御系のソフトウェア開発の経験年数としては30年を超えることになります。
 この経験をベースに、現在、SCADAパッケージソフトを開発したり、燃料電池の試験装置のパソコン側ソフトの開発や調整をしたりしています。
 そのためか、ソフトウェアという業種が、サービス業に分類されること自体に若干の違和感がありました。どちらかというと、製造業の一部ではないかという思いがありました。
 実際にも、生産工程の基幹管理システムの開発経験もあり、今なお、継続で運用保守を行わせていただいているお客様もおります。
 しかし、制御系に特化するのではなく、自然とお客様とのお付き合いの広がりから、美容室、ビジネスホテルといったサービス業の分野にも業務を広げてきて今日に至っております。

●「生産性向上のための生産システム改革」

 今回、本プロジェクトの資料を読み直して、いくつかの「キーワード」が心に残りました。

 ・生産性向上のための生産システム改革
 ・問題発見力の向上
 ・サプライチェーン全体の俯瞰
 ・ビッグデータと生産システムデータの複合的活用
 ・…

 ここでの「生産性の向上」についてですが、生産性とは、投入したコストと得られた価値との双方から考えることができるわけです。コストはわかりやすいのですが、「価値」というのがなかなかわかりにくい。そこで、この「価値」に焦点をあててみたいと考えています。
 「生産性の向上」 → 「問題発見力の向上」 → 「ビッグデータと生産システムデータの複合的活用」という流れ感でいくと、ビッグデータや生産システムデータを的確に分析活用し、より合理的計画的に、故障リスク等を事前にマネジメントし、無駄のない効率のよい生産システムを構築することで、生産性の向上を実現するというシナリオが見えてきます。
 これに加え、もう一つの観点として、価値それ自体をより豊かなものにし、そのことによって生産性の向上を実現するという方法論はどうか、ということです。

●「価値」と「コスト」

 価値についていうと、「顧客の創造」とか「顧客価値の創造」ということが言われていますが、ここには時代の要求があるように思いつつも、まだ、よく理解できていない面があります。
 そこで、現在、当社では、美容院のシステムや、ビジネスホテルのシステムを通して、この点を実践的に研究していこうと考えています。
 価値というと、顧客が求めているもの、顧客が価値として認めるものが価値のわけですが、これは、顧客のおかれている精神的物質的環境、時代、文化、倫理観などの影響を受けますし、顧客によって異なり、また変化していくものです。
 ここでのポイントは、顧客が価値と認めればなんでもいいのではなく、「顧客価値の評価の基準」があるのではないか、ということです。
 とは言えしかし、現実的には、顧客の要求に対応することが求められるのがサービス業の宿命です。そこで様々な要望に対応しつつ、その要望の性格や位置づけを認識し(俯瞰し)、本来の価値に全体を誘導していくような試みが必要になっているのではないかと考えています。
 いまはそうかもしれないが、それでいいのかという問題意識が必要ではないか、ということです。

●「投入コストの削減」と「生み出す価値の増大」

 サービス業での実践ですが、美容院のことを例に挙げますと、売上を上げようとした場合、様々な方法がありますし、それぞれがそれなりの成果を上げています。
 売上を上げるために、コンピュータシステムが、どのようなデータをユーザーに提供できるかは、お店の方針によって異なってきます。
 あるお店では、スタッフの能力・特性分析にポイントをおき、スタッフ別の課題を明確にすることでスタッフ指導を行おうとしています。
 別のお店では、とにかく簡単にレジ処理ができることが求められます。
 また別のお店では、Webからの予約との連動が求められます。
 また別のお店では、マスとしての顧客分析から、単価、来店回数の向上を目指しています。
 でもそれらの多くは、「管理し、効率化」することを目的にしています。「顧客を管理し、スタッフを管理し、売上を管理する」という具合です。要するに、「投入コスト」面での改善ということになります。
 それに対して、提供するサービスの質を一層豊かなものにしていくというアプローチで考えた場合、コンピュータシステムが提供できるデータは何かという問題がたちます。
 そこで求められたのは、サービスの質を一層豊かなものにする主体は、スタッフ自身ですので、スタッフにその動機付けを与え、背中を後押しするようなデータが重要だということになりました。
 システムを運用することで、スタッフ一人ひとりがデータに後押しされ成長し、顧客との関係が一層豊かなものになっていくようなシステムが求められていると考えています。
 当社では、こうした考えを、「『管理のためのシステム』から『成長・発展のためのシステム』へ」と定義し、2019年の年度品質目標に設定しました。

●サービス業の視点から

 「生産性向上のための生産システム改革」を考えた場合、サプライチェーン全体の俯瞰が必要だと思います。
 当社は、コンピュータソフトウェアを開発する会社ではありますが、AIやビッグデータやIOT等の専門技術者がいるわけでもなく、またこうした分野が専門というわけでもありません。
 どちらかというと現場主義で、多様な現場に足場があるという方です。
 この「俯瞰の視点」に、サービス業の視点、要するに生み出す価値は何か、その価値をより豊かなものにするということはどういうことかというような視点も取り混ぜながら、結果として、生産性の向上を実現し、未来につながる生産システム改革を実現できればいいのではないかという問題意識をもっています。
 以上、「自己紹介」といことで、最近の当社の取り組みについて紹介させていただきました。

 ありがとうございました。

以上